話半分で聞いてください

口ベタによる一生懸命

今はどんな本を読んでいるのーー私のカバンの中身

今週のお題「カバンの中身」「最近どう?」と調子を伺う代わりに、“本読み”の友人たちとは本の話をする。「今はどんな本を読んでいるの?」「今はね……」といった感じでカバンの中から本を互いに取り出して、一冊一冊紹介したり、「何で買ったの」と質問した…

もう二度と、たどり着けないかもしれないバーで

隠していた宝物をひっそりと掘り返しては、その存在を確認している気分になる店がある。銀座の大通りから少し入った、古いビルの店の奥に隠された一室で、ひっそりと営業しているバーを、そんなふうに想っている。銀座のバーとはいっても、有名なバーテンダ…

英語だけでは、深く考えられない

言語学習が中途半端だと、物事を考える能力の発達に影響を及ぼすと言われることがある。 日本語を生まれた時から日常的に聞いて話し、読んで書き、ずっと学校で国語表現を学んだ人を「100%日本語を学習した人(ネイティブ)」とすると、日本語で思想や哲学を…

落語初心者による、「渋谷らくご」体験記

落語って面白いのだろうか。好きな人はよく通っているけれど、初心者の私には古い言葉も文脈も理解できず、きっと楽しめないに違いない。けれどいつかは行ってみたい。そんな気持ちをずっと抱えながら生きてきた。 しかし先日、思い切って落語へ行ってみよう…

東京者は「地方の人」と言うと嫌われる

そういえば、今年は「地方」へ行っていない。 それどころか東京23区、しかも千代田、中央、港、渋谷、新宿の5区以外へは両手で数えられる程度しか訪れていないような気もする。「田舎っぺ」という、田舎で育った人や、田舎にずっと住んでいる人を指すあまり…

焼肉屋でタン塩ばかり食べてしまう/下北沢牛タン居酒屋「たんたん」

「タン塩」は、その言葉に触れてしまったら最後。コリコリ、プリプリとしたなんとも言えない食感と、噛めば噛むほどに出てくる肉の旨味を思い出し、その瞬間、すぐ焼肉屋へ駆け込みたくなってしまう。 お昼時ならば、牛タン・とろろ・麦めしの抜群のセットを…

都電荒川線と母の思い出/三ノ輪・蕎麦「砂場総本家」

私と母はいつも一緒だった。 幼い頃、母と2人でちょっと遠くへ出掛けるには必ず都電荒川線を使っていた。都電を使う理由は、荒川区町屋に生まれ育ち、社会経験の少ない母にとって、JRや地下鉄よりも、昔の記憶を頼りに使える都電が1番勝手が効くためだ。 「…

雨上がりの晴れやかな気持ちと、ショパンとベトナム戦争

振り返れば、暗闇にいた時間があったなと、そんな遠い日を思うことがある。それは一見、非常に貧しかったり苦しかったりする話でもあるけれど、見方によっては、煌びやかで楽しい毎日であったりもする。それに、その暗闇の体験がきっかけとなり、その後の人…

昨日の声、遠い土地、違う国

異国に想いを馳せることが多くなりました。いや、その余裕を持てるようになった、との表現の方が適切かもしれません。 仕事の関係上、違う国にいる仲間と電話で会議をよくするのですが、そのために、彼らの居る場所の時差を考えながら、互いにスケジュールを…

食べログの代わりに

古い飲食店や酒場を日々探し歩いている私は、あまり食べログを参考にしません。じゃあどう店を探すかって?今日はそういう話をします。先日「週刊朝日」で池波正太郎や松本清張の担当編集をしていた重金敦之さんの本を3冊買いました。「美味探求の本」「作家…

大事な人が消えて無くなる夢を見る

悪夢にうなされ、明け方にハッと目を覚ますことがある。哀しいとも、やり切れないとも違う、無常とはこういう気持ちを指すのだろうという気持ちで。 時々、大事な人が突然消えて無くなる夢を見る。直接死ぬのを見てしまうわけではない。暫く連絡がないなと思…

街角のフリーペーパーは、ポップアップウィンドウに似ている

就職活動で「学生時代はフリーペーパーを作っていました」なんて言うと、「あー、うん、なるほどね」となんとも言えない反応をしたりされたりするようですが、あれは何なのでしょうね。 フリーペーパーが悪いわけでも、学生の作るフリーペーパーが酷いわけで…

ベートーベンのような人と、映画の中のショパン

世の中には、一緒にいると巻き込まれそうになる人と、誘われてしまいそうになる人といる。 前者は、マイナスの感情は怒号、プラスの感情は大笑いといった感じで激情的に表現するし、「誰かに伝えたい」との思いで聴衆を前提としたアクションをするので、近く…

口に出して言っても、言わなくても

大切な人に思いの丈を打ち明ける時、家族や仲間に感謝を伝える時、大事な思い出や作品について語る時、どこから話して、どこまで伝えるかとても悩む。 悩んだ末、私は言葉をかなり削って伝えるタイプだと思う。ハードボイルドの見過ぎか、文字数に制限のある…

男だったら良かったのに

時折、なぜ私は男でなかったんだろうと悔やむことがある。いや、生まれ持った性について、深く悩んでいるわけではない。社会に不満を持っているわけでもない。けれども、ふと、そう感じてしまう時があるのだ。 例えば、夜遅くに仕事が終わって一杯飲みたいな…

ギャンブル、馬券、酒、鰻。今年出会えて良かった本

出かける際、いつも鞄には必ず2、3冊本を入れている。本屋やamazonでは、月10〜20冊、多い月は30冊程度買っている。お陰で鞄の中のみならず、台所の棚、テーブルの下、ベッドの脇など家の中のありとあらゆる所に本が転がっているという話は置いといて、たま…

「40代にもなると知っていることの繰り返しになる」

「20代は新しい発見ばかりだが、30代にはそれがほとんどなくなり、40代にもなると知っていることの繰り返しになる」みたいなことを、確か作家の白石一文が「僕のなかの壊れていない部分」で書いていた。とても憂鬱な感じで、主人公にそう話させていた。主人…

なんというか、始まってしまったものは、もう止められなかったのだ。

人は何のために学び、何のために生きるのだろうか。先日、知人が私に「勉強をするなら、仕事のためになることをしないと無駄に思えて焦ってしまう。休みの日は友達や誰かに会わないと辛くて仕方が無い。だから正反対の貴方が羨ましいし、凄いと思う」と言っ…

私を疾走させるガパオライス

学生の頃からエスニック料理を定期的に食べに行っている。お店は原宿の「チャオバンブー」と飯田橋の「ティーヌン」がお気に入り。屋台の雰囲気が再現されていていい。たまに、リゾートホテルのような洒落た雰囲気の店があるが、ああいうのはなんか違うとい…

パパが買ってくれたものだから

今週のお題「愛用しているもの」昔から、古くなったから買い替えようだとか、話題の品を買ってみようだとか、そういう感覚に乏しい。それゆえ家には物が少ない。服も少ない。そしてそれらは、まだ使えるからこのままでいいという物ばかりで、下手すると5年選…

映画が苦手だった

映画が苦手だった。 映画を誰かと見るのも苦手だった。これまで見たことのある映画といえば、「タイタニック」「グリーンマイル」「ターミネーター」など代表的な作品で、しかもたまたま金曜ロードショーでやっているからとの理由で見た程度。合計しても30作…

僕たちはいつも情報に騙されている

客の目の前で調理する鉄板焼が名物のレストランで、食事をし始めようという時だった。彼は言った。「ただお肉をお皿の上にのせて出されるだけでも十分美味しいのに、目の前で調理するだとか、なんでこういう演出をすると、みんな喜んでさ、美味しい美味しい…

この辺りも変わってしまった

タクシーに乗ると、運転手に大体話しかけられる。私は彼らに話しかけやすい見た目でもしているのだろうか。そしてどの運転手も、どこのどんな道を通っていても決まって「この辺りも変わってしまいましたねえ」としみじみ言う。東京のタクシーの運転手という…

ピアニストがピアノを弾くように、言葉を話したい

私は話すのが下手くそだ。はっきり言って吃り(ドモリ)である。吃りで、しかも、言葉に抑揚がない。 どんな吃り方かというと、頭で考えていることを、言葉にして口で発するまでにかなり時間がかかっている。なので、長く沈黙したり、回りくどい言葉を選んで…

普通のカフェでリラックスできない/四ツ谷のジャズ喫茶「いーぐる」

カフェに1人でいると、そわそわしてしまう。「おしゃれすぎて落ち着かない」とかいう類ではなく、隣の人の動きや声、雑音、匂いにいちいち反応してしまって落ち着かず、そわそわしてしまう。 仕事に疲れ、カフェへ行ってほっと一息つくどころか、あっちこっ…

マイブーム

芸能人なんかへのインタビューで「マイブームは何ですか?」という質問がしばしばある。それに対して、よく「今はカフェ巡りにはまっていて」だとか、「最近は釣りですね」と回答をしているのを見かける。これを見ると、私はいつもモヤモヤとしてしまう。理…

住みたい街、通いたい酒場

気に入って、長く住んでる街がある。惚れ込んで、よく通っている酒場がある。 そうやって暮らしていると、「どうしてその街に住んでいるの?」だとか「よく行くその店のほかにお勧めはある?」などと質問をよく受ける。答えているうち、私の住みたい街と通い…

ただ、時間が過ぎるのが怖いんだ/六本木「カファ・ブンナ」

六本木の喫茶店「カファ・ブンナ」でコーヒーを飲んでいると、彼から「今何してる?」と連絡がきた。忙しい彼からの誘いはいつも突然だ。「六本木でお茶してる」と返すと「一人?合流してもいい?」と言う。 「カファ・ブンナ」は六本木と乃木坂の間の住宅街…

八重洲・おかめの「茶飯おでん」

料理が旨くて雰囲気もある飲食店の話は、多くの人が欲しがる情報だ。一方で、特別美味しくもないし、話題になるような看板メニューもない普通の店の話に、興味のある人は殆どいないだろう。 けれども私は、そういう店の話をしたり聞いたりするのが結構好きだ…

気になって仕方がない

一度意識すると、何故かその物事の情報ばかりが目に付くようになる。 例えば、落ち込んでいる時に異性の同僚が優しい言葉を掛けてくれたとする。そして「あんまり話したことなかったけど、いいやつじゃん」と好意的な印象を持ったとする。するとその日以来、…