話半分で聞いてください

口ベタによる一生懸命

休日の昼酒は蕎麦屋に限る

休日とあらば、目覚めてすぐに飲みたくなるのがビールである。昼過ぎまで寝た後の起き抜けの一杯も最高だが、「いや、昨夜も結構飲んだしな」と少しためらって、一先ずシャワーを浴びてから、「いや、やっぱり」と冷蔵庫から缶ビール取り出しプシュっとやる…

ご褒美のアイス

スイミングスクールの帰りに食べるアイスが好きだった。アイスはいつも、帰り道にあるクリーニング屋で買っていた。 スイミングスクールには、幼稚園に入ってから小学校3年生くらいまで、週2回通っていた。水泳は嫌いではないし、むしろ得意な方だったが、そ…

私は鼻が利くタイプ

まだ1月だというのに、もう花粉症に悩まされている。朝起きて日が暮れるまで、くしゃみ鼻水が止まらない。「鼻が利く」という2つの意味を持つ言葉があるが、次来そうな株や商品は全く当てられないくせに、花粉やホコリの存在なら微量でもすぐに分かるという…

貴方にとっての運命の恋人、それは、私にとっての鰻のことである

今週のお題「今だから言えること」 出会ってから今まで何とも思っていなかった人が、突然自分にとって重要な存在になることがある。それは、貴方にとっての片思いの相手や運命の恋人、仕事の相棒のことであり、私にとっての鰻のことである。 私が鰻と初めて…

季節感のない四季と、重力のない季節

都会に住んでいると、季節を感じる機会が少ない。 例えば近頃は、街に落ち葉が減った気がする。昔は寒い家に暖かい日光を当てるため、街路樹には落葉樹を使うのが主流であったが、今では緑を増やすためだとか、片付けるのが面倒だとか歩行の邪魔だとかで、葉…

感覚のバー

年末年始は大抵一人で過ごしている。帰省することもない。家族皆で過ごした最後の年は15年以上前になる。親戚に最後に会ったのも同じ位昔のことだろうか。もう殆ど、顔も名前も思い出すことができない。 地元が無いので、地元の友人と集まる機会もない。近頃…

いい人は、いい本を知っている

「この人はいい人だ」と思ったら、必ず好きな本について聞くことにしている。 人は本を読む時、必ず孤独になる。なぜなら、孤独になると他の誰の声でもない、そこにあるテキストの音に耳をすますことができる。耳をすますには、静かでなければならない。誰か…

新幹線で飲む酒

大人になった今や、旅の楽しみといえば観光よりなにより、酒である。旅先で飲む酒は無論格別だが、移動の新幹線で飲む酒というのもまた良いものである。特段旨いものを口にできるからというわけではなく、限られた時間でそこでしか飲めない酒をやれる、とい…

2階

思えば2階にしか住んだことがない。一人で住んでいる今も、家族と暮らしていた時も、マンションの2階だった。2階よりも高い場所で暮らしたり、過ごした記憶がない。 高層ビルが乱立するこのご時世に、なんだか貧乏くさいエピソードだなと自分では思っていた…

夢から目覚めさせる曲

この頃の私は、夢の中で音楽がかかるのをきっかけに目覚めることが多い。 かかる音楽はショパンやラフマニノフといったピアノ演奏曲。私がホロヴィッツやユンディ・リなどピアニストの演奏を、昼夜問わずほとんどの時間聴いているため、選曲されたと思われる…

深夜の寿司の背徳感

無性に寿司を食いたくなる時がある。口に入れた途端に広がる、あの生魚の味と触感、飲み込んだ後に鼻に抜ける匂いを欲しているのである。そんな気分の時に限って、夜の11時を超えているので店探しに苦労する。なぜなら、ちゃんとした寿司屋というのは、店を…

死にたくもないし、生きたくもない

割と酷い骨折で入院していた。世話になったのは、いかにも何か“出そう”な古い大学病院だ。泊まっていたのは、8つのベッドが押し込められるように2列に並んだ狭い病室で、右の列の手前から3つ目が私の寝床だった。鉄パイプにせんべい布団を1枚載せただけのよ…

うまいもんは「ペロリと食べられる」のは当たり前で、本当は「おかわりしたい」

いい言葉選びをする人を、知らぬ間に好きになっていることがある。同様に、文を読み進めるうち、何度も胸を鷲掴みにされ、遂には書き手に惚れてしまうことがある。言葉に裏打ちされた思想に、口説かれるのだ。と、これから惚れた作家について順番に書こうと…

朝のメモ

ハッと目が覚めると、私はまた泣いていた。夢の中で涙を流した記憶は片隅にあるのだが、詳しい理由は覚えていない。ただただ、深い哀しみだけが体の中に残っている。酷い目覚めだが、この頃同じことが何日も続いているので、もう慣れっこだ。今は5時くらいだ…

誰のために言葉を残すか

毎年この時期になると「暦の上では秋ですが――」なんて言葉を必ず耳にする。とはいっても、現実は30度を越す猛暑であるのがお決まりのオチだが、昨日は盆の始めだというのに上着が欲しくなるほど肌寒く、日が暮れるのも早かった。そんな季節の変化を感じたこ…

餅は餅屋で買い、映画は映画屋に聞く

餅は餅屋ということで、批評や解説はなるべくやらないようにしている。感想ばかりを綴る書評や、出来事中心に連ねる日記も書かないようにしている。 ではお前はなにを記しているんだと言われれば、たぶんこれは日本的なエッセイである。事実や経験をベースに…

もんじゃが食べたくて

東京下町のソウルフードといえば「もんじゃ焼き」である。水でのばした小麦粉に、適当な具を入れウスターソースで味をつけ、熱い鉄板に広げて焼いてヘラでハフハフと食べるアレのことだ。ここふた月くらい食べてないなあ。すっかりご無沙汰である。 東京の下…

傘をさすと、突然一人ぼっちになる

梅雨入りが伝えられ、雨の日が続いている。雨の音は、孤独を感じさせる。特に、開いた傘へ連続的に叩きつけられる雨音には、寂しさを感じてしまう。雨が特別嫌いなわけではないし、おセンチな気分というわけでもない。でも一体それは何故だろうと疑問に思っ…

聴こえない歌

昔から苦手なことがある。スピーカーから流れる曲の歌詞を聴き取ることだ。 何か言葉を言っているとは分かるのだが、その内容を認識したり、意味を理解することがなかなかできない。歌い手が切ない恋に嘆いていても、明るい明日を望んでいても、音声だけでは…

英語では理解できない、「上を向いて歩こう」の歌詞の意味

「日本人は抽象的な表現ばかりだ」と、ネガティブな意味で指摘する声をこの頃よく聞く。欧米人のようにストレートに自分の意見を言ったり、直接的な表現をするべきであり、その方が「クール」なんて風潮から言われているのだろう。そんな話を聞く度、日本語…

眠れない夜のために

「最近眠れないんです」と後輩から相談を受けた。私も不眠症の経験があるので、眠れないと心もとなくなる気持ちがよく分かる。「不安だよね」「そうなんです、一人ぼっちな感じがして」。――以来、眠れない夜について考えている。 眠れない夜には、なぜ寂しく…

文明は時間や距離を短縮する代わりに、ファンタジーを奪っていく

今夜夢の中どうか会いに来てーーというサビで知られるMISIAの「眠れぬ夜は君のせい」は、好きな人を思う人々のために書かれた曲だそうだ。 彼女はこの曲を紹介する際、夢に思い人が出てきた時には、相手の思いが強過ぎて自分の夢にまで反映されてしまった、…

「詩人は単純な事を伝えるのに、いつも色んな言葉を使う」

昨晩1人で街を歩いている時、柔らかく白く光る月を見て、春の訪れを感じた。「朧月と言うんだったな」とつい口に出して呟いてしまった。 霞や靄の先に光る朧月や、深海から水面を見上げた時の、遠い先にある明かりは、「希望」をそのまま表現したような情景…

「きっと懐石料理って、わたしはひどく憂鬱な人が作り上げたものだと思う」

ぼんやりと哀しい気持ちになると懐石料理を食べたくなるのは、村上龍の「希望の国のエクソダス」を読んでからだ。 主人公のテツと、彼女の由美子が懐石料理を食べるシーンがあるのだが、テツが「(病院食みたいに)味が薄い」と正直にコメントすると、由美子…

手のひらに人という字を3回書いて飲むと、「きっと、うまくいく」

誰が言い出したか、緊張した時は「手のひらに人という字を3回書いて飲む」というおまじないがある。本当に効果があるのか疑わしいが、効く人には効くのか、何人かの友人が実際にやっているのを見たことが有る。そんなふうに誰しも、自分だけのまじないみたい…

好きな男の物語

女の子なら誰しも、アニメやドラマの登場人物に恋をした経験があると思う。例えば、ピンチの時に必ず救いに来てくれる「セーラームーン」のタキシード仮面、いたずらな態度とロマンチックな台詞で南を魅了する「ロングバケーション」の瀬名ーーと数え上げれ…

髪を切るということ

僕の持論なんだけどーー。「中小企業の社長さんは、髪を切るのが好き」とある人がブログで言っていた。「何もしないで、何かを得られる」し、同時に「何かをしていてもいい」から、彼らの考えに合っていて、どんなに忙しくとも、髪を切る時間だけは事欠かな…

「今まで何人と付き合ったことがある?」

「今まで何人と付き合ったことがある?」の言い合いは、恋仲になり始めた男女においてお決まりのやりとりのようだ。 大抵は、過去を知り合うことで互いを認め合う、なんて名目でされる質問だ。愛に溢れた問いのように見えるが、実は裏ではシビアな人格検定が…

「映画でも観ようか」という提案は、軽い口調なわりに、ヘビーな内容だと思う

なぜなら、これから1〜2時間、映画にも、誘ってきた相手にも縛られることになるからだ。物語を止めることも、相手を置いてその場から出て行くことも出来ない。脱出不可能な時間が始まる。誘いに乗るからには、意を決して臨まなければならない。 そう身構える…

「SNSによって情報が爆発し、ガラス張りみたいな社会」になった時

報われない物語の主人公を救い出せるのは、作家だけだと思う。誰にも語られない、事実の裏の出来事に真実があるからだ。例えば、殺人事件がニュースで報道される際、誰が誰を、どこでどんなふうに、何が理由で、といった情報が警察の発表をもとに述べられる…