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話半分で聞いてください

口ベタによる一生懸命

ラジオ体操の歌

目が覚めると、午前6時22分だった。部屋に差し込む陽の眩しさに起こされたのだ。こうやって、瞼を閉じていても感じられる光の力で起床するのが好きで、夜眠る時はレースのカーテンだけを閉めるようにしている。それが理由で、住む家は必ず朝日が差す部屋を選んでいる。

私は、このレースのカーテン越しに伝わる朝の気配に、昔からずっと救われている。

例えば、大変な仕事をやりこなさなければならない期間の中程で「疲れてしまったなあ」と思っても、執拗な暴力と罵倒をし続ける人間と顔をあわせる毎日に、「もう全てが嫌になってしまった」と疲れ果てても、誰とどんな酷い夜を過ごそうとも、朝の光が、昨日までの出来事を癒してくれた。
そして、私を包み込む強い光はその力で、なんとか今日という日を生き抜くことが出来るよう、気持ちを導いてくれてきた。


ところで、私の住む町では、夏になると毎朝公園でお年寄りたちが集い、ラジオ体操をしている。これのおかげで、体操の前に歌う「ラジオ体操の歌」の存在を知った。

ラジオ体操の歌は、美空ひばりの「東京キッド」の歌詞を手掛けたことで有名な、作詞家の藤浦洸が歌詞を提供している。その藤浦氏は少年の頃、とても貧しかったという。「人様の汚れ物を洗う仕事」をする祖母と、狭い家に2人で生活していたそうだ。そんな毎日を振り返ると、「どうして生きてゆけたか考えられないくらい貧しかった」と彼は言ったらしい。

彼はラジオ体操の歌で「新しい朝が来た、希望の朝だ、喜びに胸を開け、大空あおげ」とAメロに記している。
きっと彼も、今日を生きる大変な毎日を過ごす中で、朝の光に救われた人間のうちの一人なのだろうと、その歌詞を見て思った。