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話半分で聞いてください

口ベタによる一生懸命

ああ、これこれこの味

私は物事をうっかり忘れてしまいがちなので、頼まれごとや知り得た情報などは、片っ端からメモに取るようにしている。そして、書き取ったメモを見直すのを忘れないように、スマホの通知機能を使ってリマインドさせ、必ず読み返すようにしている。この方法によって、大体の記憶は掘り起こすことができている。

けれどもメモを何度見直しても、「はて、これなんだったっけな?」とすっかり忘れてしまっていることが時々ある。そういうのは大体、飲んだ日本酒に関するメモである。

私が「飲みに行く」という予定を立てる時、ほとんどの場合、日本酒がある程度揃っているお店へ行く。その理由は、日本全国の美味しい日本酒をたくさん飲んで情報を蓄えるためであり、興味がぶれると調査が進まないので、ビール、焼酎、ワイン、ウイスキー等他のお酒は自ら進んでは飲みにいかないようにしている。

大体2、3年前くらいからお金も精も込めてやっている調査なのだが、これが全く終わる気配がない。どうしてだろうと思ったら、すぐに味を忘れてしまっているからだと気が付いた。情報が全くもって蓄積していない。

もちろんメモは取っている。その日の日付と共に、今回飲んだ不老泉はどうだとか、初めて飲んだ七本槍はどうだとか書いてあるのだけれども、そのメモをもとに味を思い出そうとしても明確なイメージが湧かない。書き残されたテキストが饒舌なことから、旨かったことが確かであるのは分かる。

しかし何故、こんなにもあっさりと忘れてしまうのだろう?ひと晩に何合も飲むから酔っ払ってしまって記憶が曖昧になっているためか、はたまた、私の舌がバカなだけなのか。

また別の日に、「前に飲んだあのお酒ってどんな味だったかな?確かスッキリとしていて香りは抑え気味で、酸が少し…」なんてボツボツと言いながら注文して飲むと、「ああ、これこれこの味」と思い出すことならできるのだけれども。実際に飲んでみないと、確かな記憶が蘇らない。そして、それもまたどうせ翌日には忘れてしまう。なんて効率の悪い調査なんだ。人間が覚えていられる味の記憶なんて、その程度のものなのだろうか?

ああ、そんなことを言っていたら、早速だ。昨晩飲んだ佐賀の「天吹」の味を忘れてしまっているのに気が付いた。美味しかった記憶はあるのに、もう殆ど味わいを思い出せない。もう一回飲んでみなくちゃなぁ。