話半分で聞いてください

口ベタによる一生懸命

この辺りも変わってしまった

タクシーに乗ると、運転手に大体話しかけられる。私は彼らに話しかけやすい見た目でもしているのだろうか。

そしてどの運転手も、どこのどんな道を通っていても決まって「この辺りも変わってしまいましたねえ」としみじみ言う。東京のタクシーの運転手というのは、感傷的な人ばかりなのかもしれない。

彼らに話しかけられるのは別に嫌ではない。むしろ、変わりゆくこの街を知っているのは、この道に慣れているということを裏打ちしているのだから、客としてそれを聞いて安心したりもしている。

私はそんな運転手の問いかけに、一旦そうですねと同意しつつも、「でも、東京は昔からそういうところです。変わり続けるのが東京ですから」といつも返している。
生まれ育った街が変わりゆくことに私やこの街はパッシブであるし、東京のそういうところが好きなのである。

しかしながら、それを聞いた殆どの運転手は「確かにそうですね」と唸った後で黙り込むので、そこで会話が終わってしまう。私はもっと郷愁を学ぶべきなのかもしれない。