話半分で聞いてください

口ベタによる一生懸命

今はどんな本を読んでいるのーー私のカバンの中身

今週のお題「カバンの中身」

「最近どう?」と調子を伺う代わりに、“本読み”の友人たちとは本の話をする。「今はどんな本を読んでいるの?」「今はね……」といった感じでカバンの中から本を互いに取り出して、一冊一冊紹介したり、「何で買ったの」と質問したり、ペラペラとめくって本を読み合ったり、「この作家ならあの作品もよかったよ」なんておすすめし合う。

こういう話は、居酒屋やバーで飲み物を注文した後にするのがいい。乾杯までの間に、最近相手が気になっていたことや考えていることを知れるので、その後の会話につながる。

それに、もし新書ばかり読んでいる人がある日を境に突然小説を読むようになっていたら、またはその逆でも、それはしばしば何か目には見えない精神的な変化の現れであったりする。

私自身がいい例で、身近な誰かに影響を受けて、これまでの私なら手に取りそうもない本を読んでみたり、図版なんかを買っていたりすることがたびたびある。この頃は、アメリカ文学や映画のスクリプトをペーパーブックでよく読むようになった。これらはもともとバイリンガルの上司や親友の趣味で、その影響をモロに受けている。接する時間が増え、彼らのことを尊敬したり大切にする気持ちが強くなったせいだろう。

そういえばある日、友人といつものようにそんな会話をしていると、学生の頃読んだという小説を「なんとなく、ふと」読み返しており、読み終わった本を私にプレゼントしてくれたことがあった。友人はノンフィクションや新書ばかりを好むし、Kindleで本を読む人なので、予想外の展開にすごく驚いた。
分厚いハードカバーをカバンの中に入れると、本の重みをずっしりと感じ、大事な気分をまるごと受け止められたような気がした。何か有ったのか深く聞いてみるか迷ったが、まずは本を読んでできるだけ理解してみようと思い、やめることにした。
本のやり取りは、心のやり取りなのかもしれない。